上海でコロナ禍を経験した私が感じた中国のコロナ対応

こんにちは。

日本では1月7日、東京を含む1都3県へ緊急事態宣言が発出されました。
首都圏は想定を上回る感染拡大で、病床逼迫が叫ばれています。
いつもは旅行の話が多いですが、今回はコロナについてです。

1年前の2020年1月、私は仕事の関係で上海に住んでいましが
中国での感染を受けて、2020年2月中旬に帰国となりました。
今回は中国で実際にコロナを経験した私が、当時の様子を紹介したいと思います。

いつもと変わりない日々を過ごしていた春節前

2019年の11月ごろから、武漢で肺炎が流行っていることが報じられるようになりました。
でもそのときは新聞に小さく載るだけで、重大にとらえている人はいなかったと思います。
私は2019年12月から2020年5月まで、上海へ長期出張の予定でした。
出発するとき、「武漢で肺炎が流行っているみたいだから気を付けてね」と声をかけられましたが
「風邪に気を付けてね」ぐらいの軽い気持ちでお互い捉えていました。

原因不明の肺炎 武漢で確認
12月31日、武漢の衛生当局が原因不明の肺炎を発表。
1月8日に中国政府が新型コロナのウィルスを確認しました。
でもこのときはまだいつも通りの生活を送っていました。
私も豫園の期間限定 春節仕様のライトアップを観に行ったり、
会社の忘年会に参加したりして、「密」な環境で生活を送っていました。

事態が動いたのは、1月20日。政府はウィルスの人から人への感染を発表しました。
2020年の春節休暇は1月24日からですが、中国人はその前から
有給休暇をとって田舎へ帰る人もいて人の移動が既に始まりつつありました。

そして1月23日、政府は武漢封鎖を実施しました。
今でこそロックダウンは珍しくなくなりましたが、当時、都市への出入りを禁じる施策なんてなく
ロックダウンを聞いた時には驚きましたし、事の重大さに気付くようになりました。

ロックダウンまでの高鉄(日本の新幹線)のチケットを買えなかった
武漢市民が駅の入り口に集まる中、駅へ入らないよう警察が駅の入り口を塞いでいました。
混乱している様子をテレビで観ていましたが、そのシーンはまだ覚えています。

私は1月24日から北京と西安旅行を予定していて、行くか悩みましたが、
当時コロナは武漢だけの話だったので問題ないと思い旅行へ行くことにしました。

北京旅行の記事もご覧下さい。
コロナ禍の北京旅行 紹介(北京ダックのレストラン情報もあり)

ただ封鎖の後、観光地の閉鎖が決まり北京の定番観光地である
万里の長城や故宮博物館へ行けなくなっていましました…

武漢封鎖ではじまった春節

のべ30億人が移動すると言われている春節。
政府は1月23日、航空券や鉄道のキャンセル料を無料にすると発表しました。
連休初日の発表となりましたが、これでキャンセルした人も多くいたと思われます。

連休初日ということもあり大混雑を予想していましたが、空港は混雑しておらず
上海→北京のフライトはガラガラでした。
国際線並みの機内食が出て、私は大喜びで食べていましたが
他の人はほとんど手を付けていませんでした。

↓すいている上海虹橋空港

北京の観光地はもちろん、西安の目玉 兵馬俑の博物館も閉鎖になり
西安に行く意味がなくなったので西安行きのフライトをキャンセルして早めに上海へ戻りました。
その日は雨が降っていて、出歩いている人も少なく不気味な上海でした。

春節がコロナ拡大を防いだ?
休暇で学校や会社が休みの中、政府は休暇の延長を決めました。
休暇を終えて上京が集中するのを防ぐためです。
休暇の延長をいとも簡単に決定、実行した政府には驚くばかりです。

また休暇で休みのレストランや会社が多い中、政府は当局が衛生環境に問題がないことを
確認できない限りは再開を認めない
と発表しました。

私の会社は当局と調整して休暇明けには再開しましたが、休業が続くレストランも多くありました。
料理が並んでいて好きな料理を取るアラカルト形式のレストランは、
衛生上の観点から再開に非常に時間がかかっていました。

学校は4月ごろまでは再開できませんでした。上海で教える先生から
話を聞きましたが当局のチェックは非常に厳しかったようです。
またKTV(キャバクラ)は再開できず、つぶれたと聞いています。

徹底した管理で、感染拡大の恐れがあるレストランや会社、施設は再開を認めませんでした。
私は2月中旬に帰国したのですが、私の好きなレストランはその日までに再開することはなく
春節前にもっと行っておけばよかったと後悔しています。

一変した市民生活
連休の後半から徐々に入店にマスクを義務づけ、体温測定を実施するようになってきました。
その後は会社、お店、ホテルの至るところで、入館時に体温測定がありました。
測定漏れがないよう入り口は集約され、測定する人は漏れがないか目を光らせていました。
ホテルの周辺でも変化があり、昨日まで通れていた道が通れなくなったり
変化が激しかったです。

↓マスクなしの入店を禁止したお店の張り紙

体温測定でもし高熱が確認された場合、どうなったかは不明ですが恐らく病院送りだと思います。
当時病院にはコロナ感染者で大混乱していましたし、私自身中国語があまり話せないので
病院送りだけは絶対嫌だと思っていました。

あの時、一番緊張した時間は起床した時でした。
検温をするのですが、「お願い、発熱してないで」と思っていました。
発熱していないことを確認するとホッとしたことを覚えています。

もし感染すると職場も封鎖になり皆に迷惑をかけることになるので
余計にピリピリしていました。
一歩外に出れば検温ばかり、ホテルに戻るのも検温があるので
だんだん外に行くのを避けるようになりました。

住んでいる地区によっては、一世帯に外出可能なチケットが渡され
そのチケットが無いと外出できないという話も聞きました。
私の聞いた話では1世帯に1日2枚のチケットが配布されていたようです。
父親が仕事で一枚、母親が買い物で一枚、この2回の外出しか許されなかったのです。

マスクはどこにもなく、入荷するときは早い時間から並ばなければなりませんでした。
私は日本からたくさんマスクを持ってきていたのでよかったのですが、
スーパーでマスクが買えなくて泣いている人を見たときは辛かったです。

日本では航空会社はマスク無しの搭乗はお断りでしたが、そのほかでそこまで
厳しかったところはなかったのではないでしょうか。
基本的にマスクの着用をお願いするというスタンスだったと思います。
でも中国ではマスクがなければ、どこにも入れなかったのです。

外出への管理を厳しくした中国ですが、これを可能にしたのがフードデリバリーです。
フードデリバリーがあれば外出しなくてもごはんを食べることができます。
中国のフードデリバリーは非常に発達していて、レストランが提供する料理だけでなく
コンビニやスーパーの品物(食材、飲み物、ティッシュ等)も配達してくれます。
私は北京旅行から帰ってすぐにマスクを配達してもらいました。
既にスーパーにはなく、ギリギリのタイミングでした。

会社やお店の中にも変化がありました。
トイレの入り口やエレベーターにティッシュペーパーが設置されました。
なぜか分かりますか??
直接ドアやボタンに触れないためで、ティッシュペーパーで
取手やボタンを触ってすぐにゴミ箱へ入れていました。

またウィルスが蔓延するを防ぐため会社の空調はストップ、換気のため窓を開けての
業務になり、皆ダウンコートを来て仕事をしていました(笑)

コロナの終息・現在の様子
上海は2020年3月ごろから徐々に終息し、経済活動が再開しました。

この時期から、施設入館やホテルチェックイン時にスマホで随申码という
QRコードの提示が求められるようになりました。
海外や高リスク地域から来て間もないとQRコードの色が黄色になり建物へ入れません。
一定期間が経過するとQRコードが緑になり、自由に建物へ入れるようになります。
このQRコードは現在も使われているようです。

また2020年末から2021年にかけて、北京や大連で感染が拡大しています。
中国は感染者が1人でも出ると感染者は病院、その濃厚接触者をホテルに隔離していて
感染が拡大しないよう、初期の段階で抑え込みをしています。
1人から3人、3人が9人(1人から3人へ感染×3)と複利で感染が広まると
言われていますが、中国は初期の段階で厳しい隔離措置を行うことで
コロナの抑え込みに成功しているようです。

今振り返って思うこと

中国がコロナの抑え込みに成功した要因は3つあると思います。

  • 中央政府に強力な権限があり、迅速に効果的な施策を実行できた
  • 春節でコントロールしやすかった
  • 拡大初期の段階で厳しい隔離措置を行うことで、感染拡大を防いだ

 

2019年12月末に武漢でウィルスが確認されてから、人から人への感染を
発表するまで時間を要しました。もう少し早く発表していたら、救える命があったかもしれません。
また中国のある医者は12月の段階でコロナに警鐘を鳴らしていましたが、
地元警察に呼び出され処分を受けました。その後、その医者はコロナに感染し亡くなりました。
後政府はその処分が不当であったと認めています。
どうしてもコロナを隠蔽しようとしたのではないかと考えざるを得ません。
その点では非常に残念です。

日本に戻ってきて思うのは、政府や当局の権限の大きさ差です。
中国は強制力があり、管理がとても厳しかったです。
ただ日本はそうはいかず、厳しい管理は難しいのが現状です。
政治体制が異なるので仕方ないですが、どうしても日本の管理は緩いと感じてしまいます。

明日は成人式で、私の市は今日成人式の予定でしたが中止になりました。
近くの公園では着物を来て写真を撮っている人を見かけました。
今頃沢山の友達に囲まれて楽しい時間を過ごしていたはずなのに、本当にかわいそうです。
早く元通りに戻ってほしいです。

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